鍼の効く疾患

 WHO(世界保健機関)では鍼灸の適応症として運動器系、神経系、循環器系、消化器系、内分泌系、婦人科系など色々な疾患が挙げられていますが鍼灸師により得意分野はそれぞれ違っていて、当院は主に運動器疾患、神経系疾患を得意としております

当院には以下の症状の方が多く来院されます

腰・足

・慢性腰痛・坐骨神経痛・梨状筋症候群・ぎっくり腰・おしりの痛み

・股関節の痛み・ひざの痛み・太ももの痛み・ふくらはぎの痛み

 

首肩背中

・首肩背中のコリ・肩関節周囲炎(五十肩)・寝違え

・むち打ち症・呼吸が浅い・梅核気(のどの詰り感)

 

頭・顔

・筋緊張性頭痛・片頭痛・顎関節症

 

・腕の痛み・手指のしびれ・腱鞘炎

 

ケガ

・捻挫・打撲・肉離れ

 

スポーツ障害

・テニス肘・野球肘・ゴルフ肘・シンスプリント・オスグット・足底腱膜炎

 

その他

・自律神経疾患・不眠

・コンディション維持やメンテナンス

・運動パフォーマンス向上・運動後の疲労回復

・生理不順、生理痛の軽減 (婦人科系の鍼治療は謳っていませんが、腰や背中の治療の結果多くの方が「生理痛が軽くなりました~」「生理周期が整いました~」とお話しされます。)

・陰部神経痛 (鍼の打てない所が原因で陰部神経が障害されている場合はあまり効果がありませんので、1~2回鍼をしてみて治療を継続するか判断することになります。治療対象であれば症状は改善されます。)

 


 

~なぜ鍼は効くのか?~

「痛み」はストレスなどの精神的因子やPC、スマホなどで同じ姿勢を長時間続けたり、体の癖や筋肉の使いすぎなどにより、緊張して硬くなった筋肉が神経や血管を圧迫して起こります。(もちろんこれが痛みの原因の全てではありませんが当院ではこのパターンが適応症となります) 硬くなった筋肉によって神経が圧迫されると、神経に栄養を送る血管に血液が送り込まれなくなり痛みやシビレが起きます。また筋肉の中を通る血管が圧迫されると血行不良となった組織は栄養不足、酸素不足となり血管や細胞から発痛物質が流出されて痛みが起きます。

東洋医学では痛みの原因は「不通則痛」「不栄則痛」とされています。通じなければ則ち痛む(体を巡っている気や血や水分がどこかで滞ってしまうと痛む)栄ぜざれば則ち痛む(栄養が行き届いてなければ痛む)ということです。鍼治療は気、血、水分を堰き止めている場所を崩し順調に全身を巡らせて痛みを取り除くということです。

ではいったい鍼でどのようなことが生体にが起き、効果を発揮するのか・・

科学的に実証されている鍼の効果として、軸索反射、体性自律反射、内因性疼痛抑制系の作用、など色々ありますがその中でも軸索反射が最も重要な作用ではないかと思っています。

軸索反射とは、体に侵害刺激(鍼刺激)を与えた時インパルスは末梢から中枢(脊髄、脳)に伝わって行きますが、末梢から中枢に伝わる途中で枝分かれし末梢に逆行する経路があります。そこをインパルスが逆行性に伝わり、血管拡張に作用する物質が放出されるという反射です。硬くなって痛みを発信している筋肉に鍼を打つと軸索反射により血管が拡張して血流が改善されますので留まっていた発痛物質は流されて腎臓に運ばれ体外に排出されます。栄養不足だった筋肉や神経も栄養されて痛みやシビレは無くなり筋肉も本来の柔らかさに戻っていきます。

体性自律反射とは、体の一部に加えられた刺激は自律神経を介して内臓機能に影響を及ぼすというものです。つまり鍼刺激には自律神経の調整(内臓機能を改善させる)作用もあるということです。北京堂式の自律神経の調整は夾脊穴(背骨の中心から両側に1.5センチくらいのところ)への刺鍼です。自律神経は脊椎のお腹側を通っていますが背中側にも枝分かれした神経が走行していますので夾脊穴の筋肉(起立筋、横突棘筋)を緩めて背中側の神経の圧迫をとることで交感神経が正常に機能するというのが北京堂の考えです。

内因性疼痛抑制系とは、いわゆる「鍼麻酔」のことです。体に侵害刺激(鍼刺激)を与えた時、脳からモルヒネ様物質などが放出されたり、ゲートコントロール(他の刺激により本来の痛み信号が脳に伝わる前に脊髄レベルで抑制される)が働いたりと本来生体に備わっている内因性疼痛抑制機構を賦活させることにより麻酔作用があらわれます。 これは一時的な痛み止めにすぎないでしょうから完治させるにはしっかり筋肉を緩めることが必要です。